大津市の歴史博物館に、六道絵(ろくどうえ)の特別展を見に行ってきた。

この
六道絵というのは鎌倉時代の絵で、大津の聖衆来迎寺(しょうじゅらいごうじ)にある国宝。

平安時代の、恵心僧都 源信(えしんそうずげんしん) という天台宗のお坊さまが「往生要集(おうじょうようしゅう)」という本に、輪廻転生の世界(天道、人道、阿修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)を記して、聖衆来迎寺の六道絵は、その往生要集の六道世界を絵にしたものということだった。

特に、地獄絵が有名らしい。

15点の絵のうち、地獄絵だけで4点、閻魔大王の裁きの絵が1点、餓鬼道、畜生道の絵も地獄絵みたいなものなので、だいたい半分ぐらいが地獄絵図の感じ。

人道の絵も人道不浄相図という絵は、以前教えてもらった
檀林皇后の話と同じ九相図で、しかばねの不浄が描かれている。

他の
人道の絵も四苦八苦が主題になっていて、愛別離苦(あいべつりく)の姿が描かれてあったりなので、もう苦しみばかりで、陰々滅々としたような気が滅入る気分で充満というか・・・・・・

残された天道(天上界)というところは、輪廻転生のなかでは最上位なので、少し趣は変わるのだけれでも、ここも穢土ではあって永遠に幸せなところではなく、天人は悟りを開いてはおらず煩悩からは逃れられていない。
あくまでも天道は涅槃、極楽浄土ではなく、天人五衰の様が描かれている。

最後の二枚は、念仏を唱えることで苦しみから救われるという絵で、少し救いがある感じだったが、それでも苦しむことが前提での救済の場面の絵になる。

結局、六道は苦しみばかりなので、
輪廻転生そのものが大きな意味での地獄のようで、ちょっとこの六道絵の鑑賞は重っ苦しすぎた。

ただこの輪廻転生の六道を超えたところに四聖(ししょう)という世界があって全部で十界になるということを新たに知れたのは良かった。

この聖衆来迎寺の六道絵も、本当は六道絵ではなく十界絵で、残った四聖の部分が比叡山の他のお寺にあったという話もあるらしい。

なぜ残っていないのかというと、信長の比叡山焼き討ちが関係する。

「信長」「絵が無くなった」というキーワードで、信長の安土城屏風絵図のことを、ちょっと思い出した。