たまたまJRの電車の吊り広告を何気なく見ていたら、「いのちのセミナー」というセミナーの広告があって、上智大学グリーフケア研究所という言葉が目に入った。

グリーフケア研究所というのはJR西日本あんしん社会財団というところからの助成で、聖トマス大学に設立された研究所らしい。
聖トマス大学は縮小方向にあるようで、それで上智にこの研究所を移設したらしく、なんで大阪の梅田に上智大学のサテライトキャンパスが出来たのかという理由が、初めてわかった。

グリーフケアというのは「『悲嘆』に苦しむ人への心のケア」ということらしい。

鉄道会社が、グリーフケアに助成するというのは、表面的にはピンとこないが、その背景には大惨事となった福知山線の大事故がある。

その反省として、このJR西日本あんしん社会財団が設立され、その助成によって上智大学のグリーフケア研究所が「『悲嘆』と向き合いケアをする為の研究」を行う・・・

JR西日本という会社にとっての、あの大事故のダメージの大きさを感じるとともに どのように受け止めたかということがわかって、その真摯な企業姿勢の背景に「誠実」「 律儀」といった 日本人社会の良さを見るような感じがした。

そしてまた、おそらく社会が最も宗教に対し求めているであろうと思われる本来の課題に対し、上智大学を通じて教会にその役割が求められ、そしてその要請に応えている。

こういうことが進んでいたことを全く知らなかったが、とても良い印象を持った。


このところコメント欄で「佇まい」について話していたが、このグリーフケア研究所の
所長の高木慶子さんはシスターで、まさに「佇まい」があるお顔。
グリーフケアの現場というのは、おそらくメンタル的に大変過酷な現場であることは想像に難くないにもかかわらずである。

シスター高木は、驚いたことに、なんと浦上四番崩れのときの高木仙右衛門が曾祖父らしい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9C%A8%E4%BB%99%E5%8F%B3%E8%A1%9B%E9%96%80

表面的には、苦しみや悲しみに目を向けず忌み嫌うかのごとくスルーしているような現代社会だが、様々な事故、事件による大きな「『悲嘆』に苦しむ人」が必ず存在する。
いや、事故、事件に遭遇せずとも、どんな人の人生においても必ず「悲嘆」がある。

その現代の「悲嘆」に、理不尽で過酷な弾圧迫害を受けた浦上信徒とが線と線で繋がる。
いわば浦上信徒の DNAが、現代の『悲嘆』と向き合う「神様の道具」になっている・・・

「神様のみわざ」
ということを思わずにはいられなかった・・・


電車の吊り広告に「神様のみわざ」を見るような不思議さ・・・

トマスの前に現れ、傷口に触らせた主イエズスを見るようで、私にとっては「たまたま偶然に視界にとびこんできた小さな奇跡」をまた感じた。