前回「『聖体ランプ』というのは聖体が聖櫃の中にあることを示すサインなので、観想修道院ではなくてもカトリック教会の聖堂には必ずある」と書いたが、実は、聖体ランプ、聖櫃が一目では見当たらない聖堂がある。

こういう教会は、たいがいの場合、別に小聖堂があって聖体ランプ、聖櫃は、そちらにある可能性がある。

もちろん聖櫃が主聖堂にある教会も多いので、この違いが少し気になってきた。

Google検索で「小聖堂 聖櫃」で検索をかけ調べてみたら、1999年ごろに、鹿児島カテドラルで聖櫃の場所を巡って意見が分かれ、司教である教区長の裁定で小聖堂に決定したという話が見つかった。

カトリックの場合は、教会の公文書に基づいて教区長が判断するので、教区長の説明も「司教儀式書」や「ローマ・ミサ典礼の総則」を引用している。

少し意外だったが、
当時の「ローマ・ミサ典礼の総則」では「(聖櫃は)信者の個人的な礼拝と祈りにふさわしい小聖堂の中に設置されることが切に勧められる。」という一文があり、小聖堂のほうが望ましいとされていたようだ。

この1999年当時の「ローマ・ミサ典礼の総則」が何版に当たるのかは知らないが、
この時は、聖櫃を主聖堂から小聖堂に移すほうがいいという考え方があったのは事実である。


ただし、現在の「ローマ・ミサ典礼の総則(暫定版)第三版」では「小聖堂の中に設置されることが切に勧められる。という記述はもうない。

聖体の保存される場所
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a)内陣内
 この場合、祭儀を行う祭壇から離れたところに、よりふさわしい形と場所を選ぶ。ただし、もはや祭儀のために使用されない古い祭壇の上を妨げるものではない。
b)あるいは、他の小聖堂内。この場合、信者の個人的な礼拝と祈りにふさわしく、教会堂と有機的につながった、信者の目にとまる場所にする。

となっている。

教会(聖堂)設計のレイアウトや意匠に影響を及ぼす、このような教会公文書の変化の理由について、いまのところこれ以上は詳しく知らないが、聖櫃の場所というのは、現在の通常形式のミサの誕生とともに、いまも様々な考えが錯綜しているのだろう。

私はやはり、主聖堂で聖櫃や聖体ランプが視線に入らない(小聖堂にある)ような聖堂は、どうしても何か足りないような感じがしてしまうので、主聖堂の内陣のなかへの設置を良しとする、このようなささやかな変化は好意的に受け止めたいと思った。