10月5日に、ウナ・ボーチェジャパンの特別形式ミサ(トリエント・ミサ)があった京都の北白川教会(カトリック聖ヴィアトール北白川教会)について書こうと思う。

主任神父様のお人柄を含めいろんな点で魅力的な教会なのだが、建物としての教会(聖堂)という点でも大変感心したので、今回はその話題にしたい。

新しい教会なので、建築意匠としては現代的なコンクリートづくり。

デザインの好き嫌いは意見が分かれると思うが、新しい建物としてのクリーンさがあるし、きれいな庭を横に見る道路からのアプローチがとてもいい。

スロープがあったり、徹底的に段差を排した設計も、教会は高齢者が多いのでバリアフリーの視点で大変好ましい。


特に私が一番感心したのが、レイアウト(間取り)。

航空写真と記憶を元に図にしてみたが、こんな感じ。

北白川教会航空写真


比較的にエントランスが広い。

教会というところは、ミサの前後に一斉に人が出入りするので、エントランスの広さは重要な感じがする。

緊急時を考えた避難という面で、一度に多くの人が外に出られるということもあるが、教会というところは、聖堂の中が基本的に祈りの場であるために、ミサの後に入口付近で立ち話をすることが大変多い。
この教会は、この「立ち話をするためのスペース」をエントランスの広さとホールとの隣接によってあらかじめ確保しているのである。

このホールの位置がまた絶妙。

聖堂とも隣接していて、扉を大きく解放できるようになっている。
おそらくクリスマスなどの祭日で会衆が増える場面を想定しているのである。

またホールには様々なイベントを想定した、低めのステージもある。
聖堂を使わなくてもチャリティコンサートなどが可能ということだ。

初めて教会に来た人にとっても、事務所がエントランスに隣接しているので、声をかけやすい位置関係になっているということが大変良い。

トイレの場所も迷わないし、建物の中にありながら聖堂との距離を保った位置。

良いことづくめではないか・・・

とにかくエントランスがこの教会の最大のポイントなのであろう。

というか、教会というところはエントランスが極めて重要であるということを認識させられる建築である。

設計者のレベルの高さもあると思うが、この設計は、設計者が教会というところを詳しく理解できていないと出来ない設計のようにも思う。
設計を依頼したときの依頼の質の高さがわかる。

教会の建て直しを検討されている教会役員の方がおられたら、是非、見学をされることをお薦めしたい。


エントランス「入り口」というところは、「開かれた教会」の視点でも象徴的だ。

入口から入ったときに声をかける場所がすぐわかり、直感的に各部屋がどういうところかがわかり易い教会と、誰に声をかけたらいいか、どういう意味を持つ部屋かわからない教会・・・

小教区も様々だが後者のような教会はけっこう多い。

建物の建て直しは、なかなかできるものではないのだが、北白川教会の建築のコンセプトに学ぶことは大変多い。

外に開かれた教会という意味において
これは何も建物だけの話ではないような気もする・・・


ちなみに晴佐久神父の多摩教会は、エントランスにカウンターがあり、ミサのときには受付係の方がいる。魅力的な教会であることが、こういうところでもわかる。