3大レクイエムフォーレのレクイエムは、モーツアルトとは違って、全般的に穏やか。
この穏やかさをもってモーツアルトよりフォーレを絶賛する方も多いようです。

聖路加国際病院の、あの日野原重明先生もフォーレのレクイエムのファンのようで、御自身の死はフォーレレクイエムのピエ・イエズスを聴きながら迎えたいというような記事をちらっとどこかで読みました。

正直なところ、大ミサ曲ハ短調などの激しい曲を聴いた後だったので、少しさびしすぎて、私はちょっと・・・・・

趣味嗜好の違いと言えばそれまでですが、もしかしたら日野原先生と私とでは、死を直視する経験と心構えのレベルが全然違うからかもしれないとも思いました。
日野原先生は理事長として聖路加国際病院でホスピスを運営されているからです。

先生の本のお話の中に、聖路加のホスピスでガンでなくなられた徳永健一郎さん(NHK交響楽団の首席チェロ奏者)の最後の演奏会のお話があります。
徳永さんがいよいよ最後のときにチェロを弾いてみんなに別れを告げたいと話されたとき、日野原先生は、ホスピスのなかで演奏会を設定されたそうです。
お弟子さんなど100人程の聴衆のなかでの演奏。
日野原先生は「お葬式のときは、この方はおられない。この演奏はみなさんとのお別れの告別の演奏。非常に意味のある演奏です」と話されたといいます。
徳永さんが最後に演奏なさったのは、カザルスの「鳥の歌」という非常に穏やかな曲。
目に涙をためての演奏。神々しい顔だったという話もあります。

御自身でもピアノを演奏され、音楽を深く愛される日野原先生ですが、先生のおすすめは、音楽療法学会の理事長をされているだけに、やはり穏やかな曲がベースです。

私でも、フォーレのレクイエムの良さが解る日が来るのでしょうか?
来るような気がします。
いつの日かわかりませんが、なんとなくそんな気がします・・・