ブルーレイディスクを買って、久しぶりに映画「アマデウス」を観ました。
以前観たのはかなり前で、まだ若い時。
ストーリーが暗くあまり印象も良くなかったので、もう観ることもないと思っていたのですが、昨年末以来、少しづつモーツアルトに引き寄せられている感じがして、どうしてもまた観たくなりました。

今回の感想がどうだったかというと

「かなり良かった!!」


年齢と共に感受性って変わるもんなんですね・・・

極めて軽薄で下品でありながら天才的な音楽的才能をもつモーツアルトと、自分の才能不足を自覚して神を恨み、モーツアルトに嫉妬の炎を燃やすサリエリ。
人間的にちょっとどうかという二人が主人公なのですが、自分の才能の不足にうちのめされるサリエリに少し共感を感じるようになったのは、いつのまにか自分もやはり中年のオジさんになっているからでしょうか・・・

サリエリがモーツアルトの書いた譜面を観て、曲のイメージが頭に広がり陶酔して思わず譜面を落とすシーンがありますが、若い時は、いまひとつモーツアルトの曲の魅力を感じていなかったから、サリエリの気持ちが実感できてなかったんですね。モーツアルトはシャカシャカ忙しくてうるさいと思っていた・・・
今は、モーツアルトの曲の魅力に惹きこまれ始めてこのシーンの受け止め方が全く変わりました。

老人サリエリが、至福につつまれた表情で、自分の曲ではないモーツアルトの曲を回想するシーンもサリエリの哀れさが際立っていた。

この映画は、モーツアルトの音楽が、本当の主人公なのでした。

サリエリが神を恨み十字架を暖炉で焼いてしまうシーンがあったり、救いのないラストシーンを観ると、この映画は、あまりカトリック的ではない感じもします。
モーツアルトはフリーメーソンだったという話も頭をよぎります。

しかしK427 ハ短調ミサ曲「キリエ」K626 レクイエム「涙の日」は、何か人間が創った曲とは思えない神々しさにあふれていて、私は全身にトリハダがたって硬直してしまうのでした・・・

私も一年ぐらい練習して、こういうの教会で唱ってみたいんですけど・・・

最後に蛇足。
この映画は脇役が光っているのですが、老人サリエリの神への恨み節を、じっくりと聞く立場になってしまった贖罪神父の演技がピカイチ。
とても印象に残りました。いい表情をする俳優さんでした。