聖マタイの召命

これは「聖マタイの召命」というカラバッジョの絵です。
コントラストのはっきりしたカラバッジョらしい絵ですね。

一枚の絵として美しく、それだけで充分ではあるのですが、聖書の一節を描いたこの絵は様々な論議を引き起した絵として有名らしいのです。

何が議論を読んだのか?

実は「聖マタイの召命」という題でありながら、マタイがどの人物かよくわからないらしいのです。

「エマオの晩餐」以来、カラバッジョが気になっているのですが
この絵も「またカラバッジョにヤラレタッ・・・」という感じ。

マテオは収税人。当時の収税人というのは税務職員のイメージではなく、みかじめ料を集めてまわるヤクザ者のイメージかもしれませんね。

マタイ9-9では、収税所を訪れたイエスが、マテオを見るなりいきなり「私に着いてこい」と呼びかけるわけなのですが、この絵は
その場面を描いています。

果たしてマテオはどの人物なのか?

顔に光があたっていることもあり初老の髭の人物のように見えます。ただこの人物は自分の胸を指差しているようでありながら実は指先の方向が微妙にずれている。うつむきながらいじましく金勘定をしている若い青年を指差しているような感じです。
またイエスの視線も若干下がり気味で、髭の人物を見ているようには見えない。やはりうつむく青年を見ているような・・・
ただイエスの指差す方向は、また少し違う・・・

このうつむく青年がマテオという説が、今では強いようです。

この絵の青年はまだイエスに気づいていないが、次の瞬間イエスに気づき、そして彼の人生が変わる・・・・・

「エマオの晩餐」に劣らない劇的な絵です。