長い間休んでしまっていたが、日記なので書いておきたいと思うことがやはり起きる。

たまたま偶然に観たNHKスペシャルの「人類誕生」というドキュメンタリー番組がとても印象に残ったためだ。

3回シリーズで、第1回と第2回は既に放映済み。

まだ第3回が残っているが、人類の起源に迫った第1回のインパクトが凄かった。
猿ではない二足歩行の猿人の姿が、精緻な3DCGによって、もう実写と区別がつかないレベルで再現されたので、コレがヒトの原形だったのか!という驚きがあった。

観てみたいと思う方は、YouTubeで「人類誕生 NHK」で検索すると、該当する動画が見当たると思う。

この3DCGで再現された人類の祖先になる猿人は、450万年前〜430万年前に生息したアルディピテクス・ラミダスという猿人で、身長は120cmぐらいで容姿や顔は人間よりも猿に近い。
ただし腰が曲がってなくて人間の様にまっすぐ立っている。
食料が豊富な森林に住んでいたらしい。

私の理解では、いままで漠然とアウストラロピテクスという猿人を人類の祖先として認識していたような気がしたが、研究が進んで、今ではこのアルディピテクス・ラミダスに変わってきているようだ。

もっともアルディピテクス・ラミダスは「ヒト属(ホモ属)」ではないから、「原人」ではなくあくまでも「猿人」みたいだが、ラミダスには猿とは違うハッキリした特徴がある。

その一つは骨盤の形で、猿とは違って人間に近い。
その骨盤形状から、二本足で立って歩いていたことがわかり、前足の2本は、主に食べ物を運ぶための手になっていたようだ。

もう一つの特徴は、一夫一妻制だったこと。
つがいになることでメスを奪うために群の中でオスどうしが争うことを避け、その余ったエネルギーをメスに食料を運ぶ為に使った。

3DCGの映像では、オスが腕の中いっぱいの果物を、赤ん坊を抱くメスのところに運ぶシーンがあって、これがなんともこころが温まるような不思議な情景だった。

この番組では「ラミダスは『家族』を持つヒトになった」と表現していた。

二足歩行の猿人は。体格が向上してアウストラロピクテス・アファレンシスとなる。
気候変動で、森林が徐々に草原化したため食べ物も変化し、屍肉を食べるようになった。
外敵から狙われやすくなったため群を形成し、食べ物を運ぶ為だった手にも石が握られるようになる。

その次のホモ属のホモ・エレクトスになった段階では、猿のような体毛は無く、我々に近い。
集団で狩りをするようになり、狩りの為の道具(棒)を手に持ち石器も使う。
体毛が消えたのは、長距離を走った際の体温上昇を防ぐ為らしい。
獲物が疲れるのを待つ尾行の狩りだったようだ。

ホモ・エレクトスの骨には、歯を失った老人の骨もあるという。
歯が無くなって老いても生息していたということは、仲間からの助けを受けていた可能性があり、番組はホモ・エレクトスのことを「『心』を持つヒトになった」と表現していた。

ホモ・エレクトスを経由し、この生物は、いよいよホモ・サピエンス(種としてのヒト種)になる。


少し驚いたのは、このホモ・サピエンスに至る進化のプロセスの中で、20種ほどの亜種があったと番組では説明していた。
ヒト種になりきれない状態で絶滅した猿人や原人の種がそこそこあったということらしい。

激しい生存競争に勝ち 「ヒト属(ホモ属)」のなかで生き残ったのは、ヒト種であるホモ・サピエンスだけだ。
どちらかというと、ヒト種ホモ・サピエンスも含めその系譜となる種は、他の亜種より体躯では華奢な方だったようだが、生命維持の為の食料が少なくて済んだり環境変化に対する適応度に優っていたようだ。
手に棒を持つというような、ちょっとした知恵が、私達のご先祖様を生かしてきたということなのだろう。


このラミダスからエレクトスまでの、人類の進化の仮説に対し、ブログのテーマ性にそって旧約聖書創世記を重ね合わせ、アダムとイブはどの辺りで存在したのかを想ってみる。

「食料豊富な森林に住み、立ち上がって食べ物を手に持ち、その果物を相手に与えていた。一夫一妻であった。」という猿人ラミダスについての分析は、アダムとイブの姿を投影したくなるような、なにか神様の御業、御心を感じるようなところがあるようにも思った。

このNHKスペシャル「人類誕生」の第3回は、7月8日(日)午後9:00〜9:49 にある。