寒いので休日も引き籠りがちになってしまう。
そんなこともあって、年末にレンタルビデオ店の店頭で見かけてしまい、観ようか止めようか迷っていた映画を見た。
「第七の封印」 イングマール・ベルイマン監督の1957年製作のスウェーデン映画。
モノクロ映画なので地味で画面も暗い。
しかも「神の沈黙」がテーマで、死神と対面するという不気味な映画である。
こういう芸術映画は避けたほうが無難なのだが、それでもやはり好奇心が勝ってしまう。
(以下、ネタバレあり)
中世ヨーロッパが舞台。
十字軍の戦役から故郷へもどった騎士アントニウスだが、 故郷では黒死病が蔓延し、民衆の間では「最後の審判」が噂され、死を間近に感じる空気が満ちている。
騎士は旅の途上で死神と出会い、自らの生命を賭けたチェスの勝負を死神と始めるのだが、勝負はつかない。
チェスの合間に旅芸人の家族など様々な人たちと出会い合流しながら騎士の館へと向かうが、死神とのチェスの勝負はその一行を巻き込んでいく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%83%E3%81%AE%E5%B0%81%E5%8D%B0_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29
騎士は、終始、神の沈黙に悩んでいる。そして神の存在に疑いを持ってしまうことに悩み続けている。
死神が骸骨がマントを被ったような不気味な姿なのは、騎士の不安な心が映し出されているからだろう。
ニヒリストである従者ヨンスは、死神の誘いを前にして必死に神に祈る騎士アントニウスに対し「いかに嘆き神の慈悲にすがろうとも、そこはだれもいない漆黒の闇だ。」と突き放してしまう。
私は、死神を前にしてでさえ達観できる従者ヨンスよりも、動揺を隠さない騎士アントニウスの方が自然な反応のような感じがした。
そんなこともあって、年末にレンタルビデオ店の店頭で見かけてしまい、観ようか止めようか迷っていた映画を見た。
「第七の封印」 イングマール・ベルイマン監督の1957年製作のスウェーデン映画。
モノクロ映画なので地味で画面も暗い。
しかも「神の沈黙」がテーマで、死神と対面するという不気味な映画である。
こういう芸術映画は避けたほうが無難なのだが、それでもやはり好奇心が勝ってしまう。
(以下、ネタバレあり)
中世ヨーロッパが舞台。
十字軍の戦役から故郷へもどった騎士アントニウスだが、 故郷では黒死病が蔓延し、民衆の間では「最後の審判」が噂され、死を間近に感じる空気が満ちている。
騎士は旅の途上で死神と出会い、自らの生命を賭けたチェスの勝負を死神と始めるのだが、勝負はつかない。
チェスの合間に旅芸人の家族など様々な人たちと出会い合流しながら騎士の館へと向かうが、死神とのチェスの勝負はその一行を巻き込んでいく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%83%E3%81%AE%E5%B0%81%E5%8D%B0_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29
騎士は、終始、神の沈黙に悩んでいる。そして神の存在に疑いを持ってしまうことに悩み続けている。
死神が骸骨がマントを被ったような不気味な姿なのは、騎士の不安な心が映し出されているからだろう。
ニヒリストである従者ヨンスは、死神の誘いを前にして必死に神に祈る騎士アントニウスに対し「いかに嘆き神の慈悲にすがろうとも、そこはだれもいない漆黒の闇だ。」と突き放してしまう。
私は、死神を前にしてでさえ達観できる従者ヨンスよりも、動揺を隠さない騎士アントニウスの方が自然な反応のような感じがした。
しかし動揺する騎士にしても、達観できる従者にしても、いずれにしろ神様を感じることができない。
その騎士アントニウス、従者ヨンスとの対照を成すのが旅芸人のヨフであろう。
冒頭で青い衣を着て冠を被った貴婦人が幼子を連れている姿(の幻)を見たヨフは、その姿を聖母マリア幼子イエズスであると疑わず、すぐさまその喜びを主イエズスを讃える歌にしてあらわすような人物。
ヨフには、妻と幼子がいて、騎士もその母子の姿を見て癒されるのだが、ヨフが見た聖母マリア幼子イエズスと、騎士が見るヨフの妻子の姿は、映画を観る観客にとっては、その姿が重なり合って見える描写になっている。
救いようもなく暗く不気味なこの映画にとっては、ヨフの家族だけが救いになっている。
冒頭で青い衣を着て冠を被った貴婦人が幼子を連れている姿(の幻)を見たヨフは、その姿を聖母マリア幼子イエズスであると疑わず、すぐさまその喜びを主イエズスを讃える歌にしてあらわすような人物。
ヨフには、妻と幼子がいて、騎士もその母子の姿を見て癒されるのだが、ヨフが見た聖母マリア幼子イエズスと、騎士が見るヨフの妻子の姿は、映画を観る観客にとっては、その姿が重なり合って見える描写になっている。
救いようもなく暗く不気味なこの映画にとっては、ヨフの家族だけが救いになっている。
思っていたより虚無的な映画ではなかったが、やはり私は、この映画のような感覚で、死を捉えたくないという気持ちはどうしても残った。
ところで「死神」と言えば、アイドルグループの「嵐」の大野智さんが主演をしたドラマで「死神くん」というテレビドラマがあった。
大野くんの「死神くん」は、チャップリンのような出で立ちで「おめでとうございます。お迎えにあがりました」と現れるので、全く怖くない。
しかしコメディーであってもテーマはシリアスで少し考えてしまうところはある。
ところで「死神」と言えば、アイドルグループの「嵐」の大野智さんが主演をしたドラマで「死神くん」というテレビドラマがあった。
大野くんの「死神くん」は、チャップリンのような出で立ちで「おめでとうございます。お迎えにあがりました」と現れるので、全く怖くない。
大層な舞台設定ではない日常的過ぎる日常の中で現れる「死神くん」は、新しい旅への優しい同伴者で、死神というより、お迎えに来た人という感じがした。
しかしコメディーであってもテーマはシリアスで少し考えてしまうところはある。
「第七の封印」には「死神くん」を合わせて観るとちょうどいいのだろう。